「年末調整をした会社員も確定申告が必要」は本当?
「会社で年末調整をしているから、確定申告は関係ない」。年末が近づくと、会社員の多くがそう考えます。実際、大部分の会社員は年末調整で所得税が精算され、確定申告をしません。国税庁は、大部分の給与所得者は年末調整によって所得税額が確定し納税も完了するため、確定申告の必要はないと説明しています[2]。
では「年末調整をした会社員も確定申告が必要」は本当なのか。条件つきで本当です。年末調整が精算するのは、給与の税金と、年末調整の対象になる控除だけです。給与以外の所得や、年末調整では処理されない控除が関わると、話が変わります。とくに見落としやすいのが、一時所得と、控除の取りこぼしです。
この記事では、この2つを中心に、どこで確定申告が必要になるのかを確かめます。まず結論から見ていきます。
税金の言葉、先に5つだけ
この記事に出てくる言葉を、先にやさしく説明します。
- 年末調整(ねんまつちょうせい)=会社が、その年の最後の給与を支払うときに、社員の1年分の所得税を計算し直して精算する手続きです[2]。
- 給与所得(きゅうよしょとく)=給与収入から給与所得控除を引いた金額です。税金の計算で使うのは、この所得のほうです。
- 一時所得(いちじしょとく)=営利を目的とする継続的な行為から生じた所得でも、労務や資産の譲渡の対価でもない、一時的な所得です。満期保険金、懸賞金、競馬の払戻金などが該当します[4]。
- 所得控除(しょとくこうじょ)=所得から差し引ける金額です。医療費控除、寄附金控除、雑損控除などがあります。
- ワンストップ特例(わんすとっぷとくれい)=確定申告が不要な給与所得者が、ふるさと納税の寄附金控除を、自治体への申請だけで受けられる制度です。寄附先が5団体以内の場合に限られます[6]。
結論
- 給与を1か所から受け、給与収入が2,000万円以下で、その給与の全部について年末調整を受けている場合、給与所得と退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下なら、確定申告は要りません。所得税法第121条第1項が、そう定めています。[1][2]
- ただし、給与収入が2,000万円を超えるとき、給与以外の所得が20万円を超えるとき、2か所以上から給与を受けていて、年末調整されなかった給与と給与以外の所得の合計が20万円を超えるときなどは、年末調整をしていても確定申告が必要です。同族会社の役員で、会社から利子や賃貸料を受け取っている場合も必要です。[2][8]
- 一時所得は、収入から支出と50万円を引いた額の2分の1が課税対象です。この金額が20万円を超えると申告が必要になります。医療費控除・寄附金控除・雑損控除は年末調整では処理されないため、申告しないと控除を受けられません。ただし、ふるさと納税は、ワンストップ特例の申請をしていれば申告せずに住民税で控除されます。[3][4][5][6][7]
判定は「条件つき」です。年末調整をした会社員の大部分は、確定申告が要りません。これは条文どおりです。しかし「年末調整をしたから、必ず要らない」とは言えません。給与以外の所得が20万円を超える場合と、年末調整で処理できない控除を使う場合です。前者は義務としての申告、後者は還付を受けるための申告になります。この2つは性質が違いますが、どちらも「確定申告が必要」です。順に見ていきます。
なお、給与のほかに事業所得や不動産所得、譲渡所得(源泉徴収ありの特定口座・NISA口座での取引を除きます)がある場合、これらは年末調整では処理されません。これらの所得を含め、給与と退職以外の所得の合計が20万円を超えれば確定申告が必要で、これは言うまでもない前提として、この記事では個別の判定を省略します。そのうえで、見落としやすい一時所得と、控除の取りこぼしを中心に説明します。
条文を読む:申告が要らない条件は3つ
まず、確定申告が要らない条件を定めた条文を読みます。所得税法第121条第1項です。
その年において給与所得を有する居住者で、その年中に支払を受けるべき第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この項において「給与等」という。)の金額が二千万円以下であるものは、次の各号のいずれかに該当する場合には、前条第一項の規定にかかわらず、その年分の課税総所得金額及び課税山林所得金額に係る所得税については、同項の規定による申告書を提出することを要しない。ただし、不動産その他の資産をその給与所得に係る給与等の支払者の事業の用に供することによりその対価の支払を受ける場合その他の政令で定める場合は、この限りでない。
(所得税法第121条第1項・e-Gov法令検索)
条文は、まず、その年中に支払を受けるべき給与等の金額が2,000万円以下であるものに限定しています。そのうえで、次の各号のどれかに当てはまれば申告不要、としています。代表的なのが第1号です。
一 一の給与等の支払者から給与等の支払を受け、かつ、当該給与等の全部について第百八十三条(給与所得に係る源泉徴収義務)又は第百九十条(年末調整)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、その年分の利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び雑所得の金額の合計額(以下この項において「給与所得及び退職所得以外の所得金額」という。)が二十万円以下であるとき。
(所得税法第121条第1項第1号・e-Gov法令検索)
訳すと、こうなります。1つの会社から給与を受け、その給与の全部について源泉徴収か年末調整を受けている場合、利子・配当・不動産・事業・山林・譲渡・一時・雑の各所得の合計が20万円以下なら、申告は要りません[1]。
ここで3つの条件を確認します。
- 給与を1か所から受けていること。
- 給与収入が2,000万円以下であること。
- 給与所得と退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下であること。
3つとも満たせば申告は要りません。1つでも外れれば、この条文は使えません。
この3つのうち2つ目、給与収入2,000万円という線は、年末調整そのものの対象になるかどうかの線でもあります。所得税法第190条は、年末調整の対象を、その年中に支払うべきことが確定した給与等の金額が2,000万円以下である人としています[9]。2,000万円を超える人は年末調整の対象から外れるため、自分で確定申告をして精算することになります。
ただし、条文のただし書きに注意が必要です。不動産などを会社に貸して対価を受け取っている場合は、この限りでないとされています[1]。
2か所以上から給与を受けている人は、第2号が適用されます。第2号イは、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得・退職所得以外の所得金額との合計が20万円以下なら申告不要としています[1]。第2号ロは、それに当たらない場合でも、給与の収入金額が150万円と、社会保険料控除・生命保険料控除・扶養控除などの合計額以下で、かつ給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下なら申告不要としています[1]。
国税庁が挙げる「申告が必要な人」
条文だけでは分かりにくいので、国税庁の一覧を見ます。国税庁は、給与所得者で確定申告が必要な人を、次のとおり挙げています。
1 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人 2 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人 3 給与を2か所以上から受けていて、かつ、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える人(注)
(注) 給与の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除を除く。)を差し引いた金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円以下の人は、申告は不要です。
4 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人 5 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人 6 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人 7 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人
(国税庁タックスアンサー「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」)
3番に付いている注が、2か所から給与を受けている人の緩和規定です。給与の収入金額の合計から、雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除を除いた所得控除を引き、その金額が150万円以下で、かつ給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下なら、申告は不要になります[2]。
5番のように、災害で源泉徴収の猶予を受けた人も、確定申告が必要になります[2]。
この一覧で、会社員に多いのが2番と3番です。どちらも「20万円」が分かれ目になっています。そして、4番は金額の条件がありません。同族会社の役員が、会社から利子や賃貸料を受け取っている場合は、20万円以下でも申告が必要です[8]。
20万円を数えるとき、含めない所得があります。国税庁は、次の所得は含めないとしています。上場株式等の配当等で確定申告をしないことを選択したもの、特定口座の源泉徴収選択口座内の譲渡所得で申告しないことを選択したもの、特定公社債の利子で申告しないことを選択したもの、源泉分離課税とされる預貯金や一般公社債の利子、金融類似商品の収益、一時払養老保険の差益などです[2]。
見落としやすい一時所得
会社員が「給与以外の所得」というと、副業を思い浮かべます。しかし、副業をしていなくても、一時所得が20万円を超えることがあります。生命保険の一時金(満期保険金など)や損害保険の満期返戻金、懸賞金、競馬や競輪の払戻金などです[4]。
一時所得の計算は、他の所得と違います。国税庁は、次の式を示しています。
総収入金額 - 収入を得るために支出した金額(注) - 特別控除額(最高50万円) = 一時所得の金額
(国税庁タックスアンサー「No.1490 一時所得」)
この式の「収入を得るために支出した金額」は、その収入を生じた行為をするため、または収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限られます(所得税法第34条第2項)[10]。満期保険金を得るために払った保険料はこれに当たりますが、それ以外の支出は引けません。
一時所得は、その所得金額の2分の1に相当する金額を給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算します。
(国税庁タックスアンサー「No.1490 一時所得」)
つまり、収入から支出と最大50万円を引き、残った金額の半分だけが課税対象になります[4]。50万円の特別控除があるうえ、さらに半分になるので、実際の負担は軽くなります。
では、20万円の判定に使うのは、どの金額でしょうか。国税庁は、次のとおり説明しています。
「給与所得および退職所得以外の所得金額」が満期保険金の受領などの一時所得のみの場合については、特別控除後の金額(一時所得の金額)を2分の1にした課税の対象となる金額が20万円を超えるかどうかにより、確定申告をする必要があるかどうかを判断します。
(国税庁タックスアンサー「No.1903 給与所得者に生命保険の満期返戻金などの一時所得があった場合」)
訳すと、こうなります。一時所得だけがある場合、50万円を引いたあとの金額を2分の1にした金額、つまり実際に課税される金額が20万円を超えるかどうかで判断します[3]。収入の額でも、50万円を引いただけの額でもありません。
数字を入れて確かめます。
| 項目 | 例1 | 例2 |
|---|---|---|
| 満期保険金 | 300万円 | 400万円 |
| 払込保険料の総額 | 220万円 | 300万円 |
| 50万円を引く前の金額 | 80万円 | 100万円 |
| 一時所得の金額(さらに50万円を引く) | 30万円 | 50万円 |
| 課税対象(2分の1) | 15万円 | 25万円 |
| 確定申告 | 不要(20万円以下) | 必要(20万円超) |
例1は、満期保険金300万円から払込保険料220万円を引いて80万円、さらに50万円を引いて30万円、その半分で15万円です。20万円以下なので、確定申告は要りません。例2は、400万円から300万円を引いて100万円、50万円を引いて50万円、その半分で25万円です。20万円を超えるので、確定申告が必要です[3]。また、所得税の確定申告が要らなくても、給与所得以外の所得がある人は、住んでいる市町村に住民税の申告が必要になることがあります(地方税法第317条の2)[11]。
この計算から、目安が出ます。一時所得のほかに所得がない場合、収入から支出を引いた額が90万円を超えると、20万円を超えます。50万円を引いて40万円、その半分が20万円ですから、境目は90万円です。満期保険金と払った保険料の差が90万円を超えるときは、一度確かめてください。
もう1つ、注意があります。一時所得のすべてが、この計算になるわけではありません。国税庁は、次のとおり説明しています。
ただし、懸賞金付預貯金等の懸賞金等や、一時払養老保険、一時払損害保険等(保険期間が5年以内であるなど一定の要件を満たすもの)の差益等については、20.315パーセント(所得税および復興特別所得税15.315パーセント、地方税5パーセント)の税率による源泉分離課税が適用されますので、確定申告を行うことはできません。
(国税庁タックスアンサー「No.1490 一時所得」)
訳すと、こうなります。懸賞金付預貯金の懸賞金や、保険期間が5年以内などの一時払養老保険・一時払損害保険の差益は、20.315パーセントの税率で源泉分離課税になり、確定申告をすることはできません[4]。申告が「不要」なのではなく、申告「できない」所得です。ここは混同しやすいところです。なお、この20.315パーセントという税率は、令和9年1月1日以後に生ずる所得では変わります。復興特別所得税の税率が1.1パーセントに引き下げられ、防衛特別所得税が併せて源泉徴収されます[4]。
控除の取りこぼし:申告しないと戻らないお金
もう1つの見落としが、控除です。年末調整は、会社が社員の分をまとめて精算する仕組みです。すべての控除を処理できるわけではありません。医療費控除、寄附金控除、雑損控除は、年末調整では処理されません。所得税法第190条が年末調整で精算する控除として挙げているのは、社会保険料控除や生命保険料控除、扶養控除などで、この3つは入っていません[9]。確定申告をしなければ受けられないのは、医療費控除と雑損控除です。寄附金控除のうち、ふるさと納税については、ワンストップ特例の申請をしていれば、確定申告をしなくても住民税で控除されます[6]。
医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えたときに受けられる控除です。国税庁は、次の式を示しています。
(実際に支払った医療費の合計額-(1)の金額)-(2)の金額
(国税庁タックスアンサー「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」)
この式の(2)は10万円です。ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5パーセントになります。控除額は最高200万円です[5]。ここに挙げた金額は令和8年分の所得税の定めで、税制改正で変わることがあります。対象になるのは、自分だけでなく、生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費も含みます[5]。
たとえば、家族の医療費を年間30万円支払い、保険金などでの補填がなかったとします。総所得金額等が200万円以上なら、30万円-10万円=20万円が医療費控除になります。所得税率が10パーセントの人なら、所得税が約2万円減ります。申告しなければ、この2万円は戻りません。
国税庁は、医療費控除の手続きについて「医療費控除に関する事項その他の必要事項を記載等した確定申告書を提出してください」と案内しています[5]。年末調整の書類だけでは完結しません。
申告するときは、医療費の領収書から明細書を作って、確定申告書に添付します。国税庁は「医療費の領収書から「医療費控除の明細書」または「セルフメディケーション税制の明細書」を作成(注1)し、確定申告書に添付してください」と案内しています[5]。医療保険者から交付を受けた医療費通知がある場合は、それを添付すると、明細書の記載を簡略化できます[5]。
医療費の控除には、もう1つ選択肢があります。セルフメディケーション税制です。一定の健康診断や予防接種を受けている人が、対象の市販薬を買った場合に使えます。国税庁は、控除額を「その年中の特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金等により補填される部分の金額を除きます。)のうち、12,000円を超える部分の金額(88,000円を限度)を控除額とする」と説明しています[5]。通常の医療費控除とはどちらか一方を選ぶ制度です。市販薬の買い物が多い年は、こちらのほうが得になることがあります[5]。
ふるさと納税も同じです。寄附先が5団体以内で、確定申告が不要な給与所得者であれば、ワンストップ特例の申請だけで控除を受けられます。しかし、確定申告をすると、この特例は使えなくなります。国税庁は、次のとおり説明しています。
確定申告を行う方は、ふるさと納税ワンストップ特例の申請が無効となるため、ワンストップ特例の申請をした分も含めて寄附金控除額を計算する必要があります。
(国税庁タックスアンサー「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」)
訳すと、こうなります。確定申告をする人は、ワンストップ特例の申請が無効になるので、申請した分も含めて寄附金控除を計算し直します[6]。
寄附金控除の金額は、寄附した額から2,000円を引いた金額です。国税庁は「ふるさと納税額 - 2,000円」を所得控除とし、控除の対象になる寄附金は総所得金額等の40パーセントが上限だと説明しています[6]。所得税の税率が10パーセントの人なら、5万円の寄附で(5万円-2,000円)×10パーセント=4,800円の所得税が軽くなります。残りは住民税から控除されます[6]。
ワンストップ特例が使えない人は、ほかにもいます。寄附先が5団体を超える人、そして、ふるさと納税の有無にかかわらず確定申告をする人です。国税庁は、医療費控除や雑損控除を受けるために確定申告や住民税の申告をする人も含まれるとしています[6]。医療費控除を受けるために確定申告をすると、ふるさと納税の分も申告書に書く必要があります。申請した分が特例の対象から外れるためです。書き忘れると、そのままではその分の控除を受けられません。書き忘れた場合は、更正の請求で寄附金控除を受けられます。ただし、寄附金控除を適用しても最終的な税額に異動がない場合は、更正の請求はできません。国税庁は、その場合はお住まいの市区町村に相談するよう案内しています[6]。
雑損控除も、年末調整では処理されません。災害、盗難、横領で資産に損害を受けたときの控除です。国税庁は「確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類を添付するか、提示してください」と案内しています[7]。詐欺や恐喝による損害は、この控除の対象になりません[7]。
こうすればいい:3つの質問で確かめる
| 質問 | はい の場合 |
|---|---|
| 1. 給与の年間収入は2,000万円を超えていますか。 | 確定申告が必要です。2,000万円を超えると、年末調整の対象から外れます[9][2]。 |
| 2. 給与以外の所得(一時所得を含む)は、20万円を超えていますか。 | 確定申告が必要です。一時所得は、50万円を引いた額の2分の1で判定します。ほかに所得がない場合、収入から支出を引いた額が90万円を超えると、20万円を超えます[3]。 |
| 3. 医療費控除・寄附金控除・雑損控除を受けたいですか。 | 確定申告をします。これは還付を受けるための申告です。義務ではありません。ふるさと納税のワンストップ特例は無効になるので、寄附した分も申告書に書きます[5][6]。 |
| 4. 2か所以上から給与を受けていますか。 | 年末調整されなかった給与と、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると、確定申告が必要です。一定の場合は、この判定が緩和されます[1][2]。 |
| 5. 同族会社の役員で、会社から利子や賃貸料を受け取っていますか。 | 金額が20万円以下でも、確定申告が必要です[8]。 |
| 6. 源泉徴収票の税額より、計算し直した税額のほうが少ないですか。 | 確定申告をすれば、払い過ぎた税金が還付されます。義務ではなく、還付を受けるための任意の申告です。国税庁も、確定申告をすれば税金が還付される人は、申告が必要な人から除いています[2]。 |
| 迷ったら | 源泉徴収票と、保険会社などから届く支払調書をそろえて、税務署または税理士に相談してください。 |
判断の順序は、こうです。まず、給与以外に所得があるかを確かめます。次に、その所得が20万円を超えるかを、所得の種類ごとの計算方法で確かめます。最後に、受けたい控除があるかを確かめます。所得が20万円以下でも、控除を受けるために申告することはできます。その場合は還付を受けるための申告になります。
まとめ
「年末調整をした会社員も確定申告が必要」は、条件つきで本当です。大部分の会社員は、年末調整で所得税が精算され、確定申告は要りません。しかし、給与以外の所得が20万円を超える場合や、年末調整では処理できない控除を受ける場合は、確定申告が必要になります。
- 給与を1か所から受け、給与収入が2,000万円以下で年末調整を受けている場合、給与所得と退職所得以外の所得金額が20万円以下なら、確定申告は要りません[1][2]。
- 一時所得は、収入から支出と50万円を引いた額の2分の1が課税対象です。この金額が20万円を超えると申告が必要になります[3][4]。
- 目安として、一時所得のほかに所得がない場合、満期保険金などの収入から支出を引いた額が90万円を超えると、課税対象が20万円を超えます[3]。
- 注意:一時払養老保険の差益など、源泉分離課税になる所得は、確定申告をすることができません。申告不要とは違います[4]。
- 注意:医療費控除・寄附金控除・雑損控除は、年末調整では処理されません。医療費控除と雑損控除は、申告しないと受けられません(ふるさと納税は、ワンストップ特例の申請があれば申告せずに住民税で控除されます)[5][6][7]。
- 注意:確定申告をすると、ふるさと納税のワンストップ特例は無効になります。申請した分も含めて、寄附金控除を計算し直します[6]。
年末調整は、給与の税金を精算する仕組みです。給与の外で生まれた所得と、年末調整の対象にならない控除は、自分で確かめる必要があります。まずは源泉徴収票を見て、給与以外の所得がなかったかを思い出すところから始めてください。
出典
- [1]所得税法第121条(確定所得申告を要しない場合・e-Gov法令検索) 確認日:2026-10-20
- [2]No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人 — 国税庁タックスアンサー 確認日:2026-10-20
- [3]No.1903 給与所得者に生命保険の満期返戻金などの一時所得があった場合 — 国税庁タックスアンサー 確認日:2026-10-20
- [4]No.1490 一時所得 — 国税庁タックスアンサー 確認日:2026-10-20
- [5]No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除) — 国税庁タックスアンサー 確認日:2026-10-20
- [6]No.1155 ふるさと納税(寄附金控除) — 国税庁タックスアンサー 確認日:2026-10-20
- [7]No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除) — 国税庁タックスアンサー 確認日:2026-10-20
- [8]No.1901 同族会社の役員で確定申告の必要な人 — 国税庁タックスアンサー 確認日:2026-10-20
- [9]所得税法第190条(年末調整・e-Gov法令検索) 確認日:2026-10-20
- [10]所得税法第34条(一時所得・e-Gov法令検索) 確認日:2026-10-20
- [11]地方税法第317条の2(市町村民税の申告等・e-Gov法令検索) 確認日:2026-10-20
※ 本文は令和8年10月20日現在の法令・公式情報に基づきます。出典は、法令(e-Gov)・国税庁の公式資料を基本としています。公開後に訂正が生じた場合は、訂正記録をこの記事の末尾に掲載します(訂正ポリシー)。