半分ホント

「家族に払う給料は経費にならない」は本当?

掲載日:2026年10月20日
分野:経費・必要経費

「家族に給料を払っても、経費にはならない」。個人事業をしている人や、家族で会社をやっている人なら、一度は聞いたことがあるかもしれません。この話はどこまで本当なのか、所得税法と法人税法の条文、国税庁の説明で確かめました。

先に結論を言うと、この噂は半分だけ当たります。経費にならないのは、個人の白色申告と、青色申告で届出をしていない場合です。青色申告で届出をして相当な額を払う場合や、法人で家族を使用人として相当な額を払う場合は、経費(法人では損金)にできます。家族だから自動的に経費にできる、という制度はありません。

税金の言葉、先に5つだけ

この記事に出てくる言葉を、先にやさしく説明します。

  • 青色申告(あおいろしんこく)=税務署長の承認を受けて、青色の申告書で出す申告です。個人では、不動産所得・事業所得・山林所得がある人が使えます。
  • 白色申告(しろいろしんこく)=青色申告の承認を受けずに出す申告です。
  • 生計を一にする(せいけいをいつにする)=同じ家計で生活している、という意味です。仕事や学校などの都合で離れて暮らしていても、常に生活費を送っている場合は当てはまります[11]。
  • 専従者(せんじゅうしゃ)=事業主と生計を一にする親族で、その事業に専ら(もっぱら)従事している人です。
  • みなし役員(みなしやくいん)=取締役などではないのに、税法では役員として扱われる人です。同族会社の使用人でも、株の持ち方など一定の要件を満たして経営に従事していれば、みなし役員になります。

結論

  1. 個人の白色申告では、そのとおりです。家族に払った給与は、必要経費になりません。代わりに、家族が専ら事業に従事していれば「事業専従者控除」を使うと、配偶者なら最高86万円、その他の親族なら最高50万円を差し引けます。[1][2]
  2. 個人の青色申告でも、届出をしていなければ経費になりません。青色事業専従者給与は、届出書を期限までに出し、届出に書いた金額の範囲内で、労務の対価として相当な額を支払ったときだけ、必要経費にできます。[2][3]
  3. 法人では、家族が役員(みなし役員を含みます)に当たると、役員給与のルールがかかります。定期同額給与などに当たらない給与や、不相当に高額な部分は、損金にできません。家族が役員でなく使用人の場合も、労務の対価として相当な額は損金にでき、不相当に高額な部分は損金にできません。[4][5][6][9][10]

判定は「半分ホント」です。家族に給与を払うこと自体は、どの場合も禁止されていません。問題は、払った給与を経費(法人では損金)にできるかどうかです。白色申告では、そもそも経費にできません[1][2]。青色申告でも、届出をしていなければ経費になりません[2][3]。ここまでは、噂のとおりです。ただ、青色申告では、届出と金額の相当性がそろえば経費にできます[2][3]。法人では、その家族が役員(みなし役員を含みます)に当たるかどうかで、かかるルールが変わります。役員なら役員給与のルール、役員でない使用人なら、相当な額は損金にでき、高すぎる部分だけが損金にできません[4][7][9][10]。このように、経費にできる道があることを落とした言い切りなので、半分だけ本当です。順に見ていきます。

白色申告では、家族に払った給与は経費になりません

まず、白色申告の場合です。所得税法第56条第1項は、生計を一にする親族に払った給与について、次のとおり定めています。

居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しないものとし、かつ、その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上ないものとみなす。

(所得税法第56条第1項・e-Gov法令検索)

訳すと、こうなります。生計を一にする配偶者や親族が、事業に従事した対価として給与を受け取ったときは、その給与は、事業主の必要経費に入れません。ただし、その親族がその給与を得るために使った経費は、事業主の必要経費に入れます。そして、その親族の側では、受け取った給与とその経費を、なかったものとして扱います[1]。

つまり、白色申告で家族に給与を払っても、税金の計算では「払ったこと」にできません。事業主の経費にできず、受け取った側の給与所得にもなりません。では、家族が事業を手伝っている場合に何もないのかというと、そうではありません。代わりに用意されているのが、事業専従者控除です。

居住者(第一項に規定する居住者を除く。)と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢十五歳未満である者を除く。)で専らその居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下この条において「事業専従者」という。)がある場合には、その居住者のその年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、各事業専従者につき、次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を必要経費とみなす。

(所得税法第57条第3項・e-Gov法令検索)

金額は、配偶者である専従者なら86万円、それ以外の専従者なら50万円です。ただし、その年の事業の所得を「専従者の数に1を加えた数」で割った金額のほうが低いときは、その金額が上限になります[2]。国税庁は、次のとおり説明しています。

白色申告の場合、生計を一にする配偶者やその他の親族に支払った給与等を必要経費に算入することができませんが、これらの方が専ら事業に従事している場合には、事業専従者控除として、配偶者は最高86万円、15歳以上のその他の親族は最高50万円を必要経費として差し引くことができます。

(国税庁タックスアンサー「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」)

訳すと、こうなります。給与そのものは経費にできませんが、専従者がいれば、配偶者は最高86万円、15歳以上のその他の親族は最高50万円を、経費として差し引けます[3]。

控除された金額は、専従者の側では給与収入になったものとして扱われます。所得税法第57条第4項は、次のとおり定めています。

前項の規定の適用があつた場合には、各事業専従者につき同項の規定により必要経費とみなされた金額は、当該各事業専従者の当該年分の各種所得の金額の計算については、当該各事業専従者の給与所得に係る収入金額とみなす。

(所得税法第57条第4項・e-Gov法令検索)

つまり、事業主の経費になった金額は、専従者の給与収入として扱われます[2]。

青色申告でも、届出をしていなければ経費になりません

青色申告なら、家族への給与を経費にできる。これには、正確には「届出をしていれば」という条件がつきます。所得税法第57条第1項は、次のとおり定めています。

青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢十五歳未満である者を除く。)で専らその居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下この条において「青色事業専従者」という。)が当該事業から次項の書類に記載されている方法に従いその記載されている金額の範囲内において給与の支払を受けた場合には、前条の規定にかかわらず、その給与の金額でその労務に従事した期間、労務の性質及びその提供の程度、その事業の種類及び規模、その事業と同種の事業でその規模が類似するものが支給する給与の状況その他の政令で定める状況に照らしその労務の対価として相当であると認められるものは、その居住者のその給与の支給に係る年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入し、かつ、当該青色事業専従者の当該年分の給与所得に係る収入金額とする。

(所得税法第57条第1項・e-Gov法令検索)

訳すと、こうなります。青色申告の承認を受けている人が、生計を一にする配偶者や親族(15歳未満の人を除きます)で、専ら事業に従事している人に給与を払ったときは、その給与のうち、届出書に書いた方法に従い、書いた金額の範囲内で、労務の対価として相当な額は、必要経費に入れられます。受け取った人にとっては、給与所得になります[2]。

ここで大事なのは、「次項の書類に記載されている方法に従いその記載されている金額の範囲内において」という部分です。届出をしていない年は、この規定が使えません。すると、前の節で見た第56条に戻ります。つまり、青色申告でも、届出がなければ家族への給与は経費になりません。白色申告の事業専従者控除も使えません。第57条第3項が、青色申告の承認を受けている人を除いているからです[2]。

届出の期限も決まっています。所得税法第57条第2項は、次のとおり定めています。

その年分以後の各年分の所得税につき前項の規定の適用を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同項の事業を開始した場合には、その事業を開始した日から二月以内)に、青色事業専従者の氏名、その職務の内容及び給与の金額並びにその給与の支給期その他財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

(所得税法第57条第2項・e-Gov法令検索)

訳すと、こうなります。届出書は、その年の3月15日までに出します。その年の1月16日以後に新しく事業を始めた場合は、事業を始めた日から2か月以内です。書くのは、専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、給与の支給期などです[2]。

国税庁は、青色事業専従者給与として認められる要件を、次のとおり挙げています。

イ 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。ロ その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。ハ その年を通じて6か月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。

(国税庁タックスアンサー「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」)

「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していること。提出期限は、青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合や新たに専従者がいることとなった場合には、その開始した日や専従者がいることとなった日から2か月以内)までです。この届出書には、青色事業専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、支給期などを記載することになっています。また、専従者が増える場合や、給与を増額する場合など、届出の内容を変更するためには、「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を遅滞なく納税地の所轄税務署長に提出していること。

(国税庁タックスアンサー「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」)

青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であること。なお、過大とされる部分は必要経費とはなりません。

(国税庁タックスアンサー「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」)

訳すと、こうなります。専従者になれるのは、生計を一にする親族で、その年の12月31日現在で15歳以上、その年を通じて6か月を超えて専ら事業に従事している人です。届出書は期限までに出し、専従者が増えるときや給与を増やすときは、変更届出書を遅滞なく出します。給与の額は、労務の対価として相当な金額でなければなりません。過大な部分は、経費にできません[3]。

国税庁の説明は、次の一文から始まっています。

これらの給与は原則として必要経費にはなりませんが、次のような特別の取扱いが認められています。

(国税庁タックスアンサー「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」)

「原則として経費にならない」が先にあり、その例外として青色事業専従者給与と事業専従者控除がある、という順序です。家族に給与を払えば経費になる、という制度ではありません。青色事業専従者給与は、届出をした人だけが使える例外です。

法人では、役員給与のルールがかかります

法人が家族に給与を払う場合、その家族が役員なのか、使用人なのかで、かかるルールが変わります。まず、役員給与の原則です。法人税法第34条第1項は、次のとおり定めています。

内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与で業績連動給与に該当しないもの、使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの及び第三項の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

(法人税法第34条第1項・e-Gov法令検索)

訳すと、こうなります。法人が役員に支給する給与のうち、定期同額給与(毎月同じ額を払う給与など)、事前確定届出給与(あらかじめ決めて届け出た賞与など)、業績連動給与のいずれにも当たらないものは、損金にできません[4]。

さらに、金額が高すぎる場合の規定があります。法人税法第34条第2項と第3項です。

内国法人がその役員に対して支給する給与(前項又は次項の規定の適用があるものを除く。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

(法人税法第34条第2項・e-Gov法令検索)

内国法人が、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する給与の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

(法人税法第34条第3項・e-Gov法令検索)

訳すと、こうなります。役員に払った給与のうち、不相当に高額な部分は、損金にできません。事実を隠したり、仮装して経理した給与は、全額を損金にできません[4]。国税庁も、次のとおり説明しています。

(1)および(2)については不相当に高額な部分の金額は、損金の額に算入されず、(3)についてはその全ての金額が損金の額に算入されません。

(国税庁タックスアンサー「No.5211 役員に対する給与」)

定期同額給与にも決まりがあります。事業年度の途中で役員給与を増額したときは、その増額が認められるのは、原則として事業年度開始の日から3か月以内の改定などに限られます。国税庁は、次のとおり説明しています。

その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月(確定申告書の提出期限の特例に係る税務署長の指定を受けた場合にはその指定に係る月数に2を加えた月数)を経過する日(以下「3月経過日等」といいます。)まで(継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定で、その改訂が3月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合にはその改訂の時期まで)にされる定期給与の額の改定

(国税庁タックスアンサー「No.5211 役員に対する給与」)

訳すと、こうなります。役員給与を改定できるのは、原則として事業年度開始の日から3か月を経過する日までです。それより後に上げた分は、定期同額給与に当たらず、損金にできないことがあります[8]。

なお、役員であっても、部長や課長など使用人としての職制上の地位を持ち、常時使用人としての職務に従事する人のことを「使用人としての職務を有する役員」(使用人兼務役員)といいます。法人税法第34条第6項は、次のとおり定めています。

第一項に規定する使用人としての職務を有する役員とは、役員(社長、理事長その他政令で定めるものを除く。)のうち、部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するものをいう。

(法人税法第34条第6項・e-Gov法令検索)

使用人兼務役員の場合、使用人としての職務に対する給与は、役員給与のルールの外になります。法人税法第34条第1項のかっこ書きが、その部分を除いています[4]。逆に言うと、この地位に当たらない役員への給与は、すべて役員給与のルールで判断されます。

家族が役員でない、使用人の場合

家族が役員でない使用人として働いている場合は、また別の規定がかかります。法人税法第36条は、次のとおり定めています。

内国法人がその役員と政令で定める特殊の関係のある使用人に対して支給する給与(債務の免除による利益その他の経済的な利益を含む。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

(法人税法第36条・e-Gov法令検索)

「政令で定める特殊の関係のある使用人」の範囲は、法人税法施行令第72条が定めています。

法第三十六条(過大な使用人給与の損金不算入)に規定する政令で定める特殊の関係のある使用人は、次に掲げる者とする。一 役員の親族 二 役員と事実上婚姻関係と同様の関係にある者 三 前二号に掲げる者以外の者で役員から生計の支援を受けているもの 四 前二号に掲げる者と生計を一にするこれらの者の親族

(法人税法施行令第72条・e-Gov法令検索)

訳すと、こうなります。役員の親族など、役員と特殊な関係にある使用人(特殊関係使用人)に支給する給与は、労務の対価として相当な額であれば、損金にできます。ただし、不相当に高額な部分は、損金にできません[9][10]。家族を役員でない使用人として雇っている場合は、働いた分に見合った給与を払えば損金にでき、損金にできないのは、高すぎる部分だけです。

見落とすと経費にならない、6つの点

1つ目は、みなし役員です。家族を「使用人」として給与を払っていても、税法上は役員として扱われることがあります。法人税法第2条第15号は、役員を次のように定めています。

法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち政令で定めるものをいう。

(法人税法第2条第15号・e-Gov法令検索)

この「政令で定めるもの」が、みなし役員です。法人税法施行令第7条は、次のとおり定めています。

法第二条第十五号(役員の意義)に規定する政令で定める者は、次に掲げる者とする。一 法人の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限る。次号において同じ。)以外の者でその法人の経営に従事しているもの 二 同族会社の使用人のうち、第七十一条第一項第五号イからハまで(使用人兼務役員とされない役員)の規定中「役員」とあるのを「使用人」と読み替えた場合に同号イからハまでに掲げる要件のすべてを満たしている者で、その会社の経営に従事しているもの

(法人税法施行令第7条・e-Gov法令検索)

同族会社で、家族を使用人として雇い、その人が経営に従事している場合は、この2号に当たるかどうかを確かめる必要があります。国税庁は、その人を次のように説明しています。

同族会社の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限ります。)のうち、次に掲げるすべての要件を満たす者で、その会社の経営に従事しているもの

(国税庁タックスアンサー「No.5200 役員の範囲」)

要件は3つです。その会社の株主グループを所有割合の大きい順に並べたときに、第1順位から第3順位までのうち、上位から合計して初めて50%を超えるまでのグループに属していること、その使用人の属する株主グループの所有割合が10%を超えていること、その使用人(配偶者などを含みます)の所有割合が5%を超えていることです[7]。

家族に給与を払うときに、特に気を付ける点です。みなし役員に当たると、その人への給与は役員給与として扱われます。すると、賞与を出しても、事前確定届出給与の届出がなければ損金にできません。毎月の給与を途中で上げても、損金にできない部分が出ます。使用人として払ったつもりでも、税法は役員として見ます[4][7][8]。

2つ目は、届出の期限です。届出は、青色事業専従者給与を初めて必要経費にしようとする年の3月15日までに出します。一度出せば翌年以後も有効ですが、専従者が増えるときや給与を増やすときは、変更届出書を遅滞なく出します。届出の金額を超えて払った分は、経費になりません[2][3]。

3つ目は、年齢です。15歳未満の親族は、専従者にできません。判定は、その年の12月31日現在の年齢で行います。白色申告の事業専従者控除も、青色申告の青色事業専従者給与も同じです[2][3]。

4つ目は、配偶者控除と扶養控除です。専従者にした人は、これらの控除の対象にできません。国税庁は、次のとおり説明しています。

青色申告者の事業専従者として給与の支払を受ける人または白色申告者の事業専従者である人は、同一生計配偶者や扶養親族にはなれません。

(国税庁タックスアンサー「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」)

5つ目は、不動産所得の場合です。国税庁は、次のとおり説明しています。

不動産所得の場合、青色申告者に係る青色事業専従者給与または白色申告者に係る事業専従者控除額については、不動産貸付けが事業として行われている場合は適用がありますが、それ以外の場合には適用がありません。

(国税庁タックスアンサー「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」)

訳すと、こうなります。アパート経営などの不動産所得では、その貸付けが事業として行われている場合だけ、専従者給与や専従者控除を使えます。事業として行われていない(事業的規模に満たない)貸付けでは使えません[3]。

6つ目は、白色申告の書き方です。事業専従者控除は、確定申告書に書かなければ受けられません。所得税法第57条第5項は、次のとおり定めています。

第三項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨及び同項の規定により必要経費とみなされる金額に関する事項の記載がない場合には、適用しない。

(所得税法第57条第5項・e-Gov法令検索)

6つの点に共通するのは、手続きと金額の決め方です。どれか1つを見落とすと、給与が経費にならなかったり、控除を受けられなくなったりします。

こうすればいい

場面考え方
個人・白色申告給与として経費にすることはできません。専従者がいれば、事業専従者控除(配偶者は最高86万円、その他の親族は最高50万円)を、確定申告書に書いて差し引きます。
個人・青色申告「青色事業専従者給与に関する届出書」を3月15日まで(新しく事業を始めた場合は2か月以内)に出します。届出に書いた金額の範囲内で、労務の対価として相当な額を支払います。専従者が増えるときや給与を増やすときは、変更届出書を遅滞なく出します。
法人家族がみなし役員に当たるかを先に確かめます。役員に当たる場合は、毎月の給与は定期同額給与で、賞与は事前確定届出給与の届出をして支給します。役員に当たらない使用人なら、労務の対価として相当な額は損金にできます。金額は、同種・同規模の会社の水準に照らして相当な範囲にします。
迷ったら顧問の税理士に相談してください。

まとめ

「家族に払う給料は経費にならない」は、半分ホントです。経費にできない場合はたしかにありますが、手続きと金額を整えれば経費にできる道があります。その道を落とした言い切りなので、半分だけ本当、という判定です。

  • 個人の白色申告では、家族に払った給与は必要経費になりません。代わりに、家族が専ら事業に従事していれば事業専従者控除(配偶者は最高86万円、その他の親族は最高50万円)を使います[1][2][3]。
  • 個人の青色申告では、青色事業専従者給与の届出書を期限までに出していることが前提です。届出がなければ、給与は経費になりません[2][3]。
  • 法人では、家族が役員(みなし役員を含みます)に当たると役員給与のルールがかかります。定期同額給与などに当たらない給与や、不相当に高額な部分は損金にできません。家族が役員でなく使用人の場合も、相当な額は損金にでき、不相当に高額な部分は損金にできません[4][5][6][7][8][9][10]。
  • 注意:同族会社では、家族を「使用人」として雇っていても、株の持ち方などでみなし役員に当たることがあります。賞与の扱いが変わります[5][6][7]。
  • 注意:15歳未満の親族は専従者にできず、専従者にした人は配偶者控除や扶養控除の対象にできません[2][3]。
  • 注意:不動産所得では、貸付けが事業として行われている場合だけ、専従者給与や専従者控除を使えます[3]。

家族に給与を払うこと自体は、どの場合もできます。決めるのは、払うかどうかではありません。青色申告なら届出を出しているか、金額が労務の対価として相当か、法人ならその家族が税法上の役員に当たるか(当たれば役員給与のルールに沿って払う)という点です。白色申告では、給与ではなく事業専従者控除を使います。


出典

※ 本文は令和8年10月19日現在の法令・公式情報に基づきます。出典は、法令(e-Gov)・国税庁の公式資料を基本としています。公開後に訂正が生じた場合は、訂正記録をこの記事の末尾に掲載します(訂正ポリシー)。

本記事は掲載日時点の法令・公式情報に基づく一般的な解説です。個別の事案については、お近くの税務署または税理士にご相談ください。