ウソ

「子どもは扶養していれば何歳でも扶養控除が受けられる」は本当?

掲載日:2026年10月26日
分野:扶養・家族

「子どもは扶養していれば、何歳でも扶養控除がもらえる」。そう思っていませんか?

年末調整の時期になると、この言葉をそのまま信じて申告書に子ども全員の名前を書く人がいます。書いた名前の数だけ税金が安くなる、という理解です。ところが、扶養控除の対象になるかどうかは、扶養しているかどうかだけでは決まりません。年齢の線と所得の線が、条文ではっきり引かれています。年齢の線は、下(16歳)にはありますが、上にはありません。

まず、言葉を整理します。

税金の言葉、先に4つだけ

この記事に出てくる言葉を、先にやさしく説明します。

  • 扶養控除=扶養している家族の人数に応じて、所得から差し引ける金額
  • 扶養親族=税金の計算上、扶養していると認められる親族。4つの条件があります
  • 控除対象扶養親族=扶養親族のうち、その年12月31日現在で16歳以上の人。年齢の上限はありません
  • 合計所得金額=1年間のもうけを合計した金額。収入とは別の数字です

結論

  1. 扶養控除の対象は、その年12月31日現在で16歳以上の「控除対象扶養親族」です(所得税法第2条第1項第34号の2)。
  2. 16歳未満の子どもは、扶養親族ではあっても控除対象扶養親族ではありません。扶養控除は受けられません。「何歳でも」が誤りです。
  3. 一方、年齢の上限はありません。成人した子どもでも、生計を一にしていることや合計所得金額が62万円以下(令和8年分)などの条件を満たせば対象です。
  4. 控除額は年齢で変わり、19歳以上23歳未満は63万円、70歳以上は48万円(同居の親などは58万円)、それ以外は38万円です(所得税法第84条。58万円は租税特別措置法第41条の16)。

判定は「ウソ」です。「扶養していれば何歳でも」の「何歳でも」が、条文と合いません。年齢の下限は16歳で、所得の条件もあります。ただし上限はなく、成人した子どもでも条件を満たせば対象になります。

条文では、対象を「16歳以上」と決めています

扶養控除の金額は、所得税法第84条に書かれています。

居住者が控除対象扶養親族を有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から、その控除対象扶養親族一人につき三十八万円(その者が特定扶養親族である場合には六十三万円とし、その者が老人扶養親族である場合には四十八万円とする。)を控除する。 [1]

(所得税法第84条第1項)[1]

少し堅いので訳すと、こうです。扶養控除が使えるのは「控除対象扶養親族」がいる場合だけです。金額は1人につき38万円で、特定扶養親族なら63万円、老人扶養親族なら48万円になります。

では、控除対象扶養親族とは誰を指すのか。同じ法律の第2条が定義しています。

控除対象扶養親族 扶養親族のうち、次に掲げる者の区分に応じそれぞれ次に定める者をいう。イ 居住者 年齢十六歳以上の者 [2]

(所得税法第2条第1項第34号の2)[2]

訳すと、日本に住んでいる人については「年齢16歳以上」が線です。扶養親族であっても、16歳に届かなければ控除対象扶養親族にはなりません。

日本に住んでいる人について、条文が決めている年齢は「16歳以上」だけです。上限は書かれていません。70歳以上は「老人扶養親族」として金額が変わりますが、対象から外れるわけではありません。

16歳未満の子どもは、対象外です

国税庁の説明も同じ線を引いています。

控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人をいいます。 [3]

(国税庁「No.1180 扶養控除」)[3]

つまり、15歳以下の子どもは、申告書に名前を書いても扶養控除は増えません。ただし、申告書の「住民税に関する事項」欄には、16歳未満の扶養親族を書く欄があります[11]。

では、16歳未満の子どもには何もないのかというと、そうではありません。現金が支給される児童手当があります。

支給対象児童(0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子をいいます。以下同じ。)を養育している方 [4]

(こども家庭庁「児童手当制度のご案内」)[4]

児童手当は所得控除ではありません。受け取っても課税されない、現金の支給です。

控除額は、年齢で3段階に変わります

同じ扶養控除でも、金額は子どもの年齢で変わります。国税庁の表に、条文の年齢を足すと次のとおりです。

区分年齢(12月31日現在)控除額
一般の控除対象扶養親族16歳以上(特定扶養親族・老人扶養親族を除く)38万円
特定扶養親族19歳以上23歳未満63万円
老人扶養親族70歳以上48万円
老人扶養親族(同居老親等)70歳以上の父母・祖父母など(直系尊属)で同居58万円

(国税庁「No.1180 扶養控除」の表)[3]

表の4行目だけは、租税特別措置法が根拠です。所得税法第84条には、この加算は書かれていません。老人扶養親族が直系尊属で同居している場合に、10万円を加算します。

居住者の有する所得税法第二条第一項第三十四号の四に規定する老人扶養親族が当該居住者又は当該居住者の配偶者の直系尊属で、かつ、当該居住者又は当該配偶者のいずれかとの同居を常況としている者である場合には、当該老人扶養親族に係る同法第八十四条第二項に規定する扶養控除の額は、同条第一項の規定にかかわらず、同項の金額に十万円を加算した額とする。 [5]

(租税特別措置法第41条の16第1項)[5]

いちばん高いのは、高校生の年代ではありません。19歳以上23歳未満の特定扶養親族で、63万円です。19歳から22歳の子どもがいる年は、控除額が大きく増えます。

多くの子どもは、高校を卒業した年の12月31日に19歳になり、その年から63万円になります(1月1日〜4月1日生まれは翌年から)。年齢の区切りは、進学や就職ではなく、12月31日現在の年齢だけで決まります。

成人しても、条件を満たせば対象です

扶養控除の対象は、日本に住んでいる子どもについては「16歳以上」とだけ決まっていて、年齢の上限はありません。18歳で成人したあとも、扶養親族の条件を満たしていれば、控除対象扶養親族になります。

年齢十八歳をもって、成年とする。 [10]

(民法第4条)[10]

扶養控除の額は、年齢で次の3段階に変わります。

  • 18歳(19歳になる前):一般の控除対象扶養親族で38万円
  • 19歳から22歳:特定扶養親族で63万円
  • 23歳以上:一般の控除対象扶養親族で38万円

大学院に進んだ子、就職したけれど収入が少ない子、アルバイトをしている子も、この条件に当てはまれば対象です。合計所得金額が62万円以下(令和8年分)で、親と生計を一にしていれば、23歳以上でも38万円の控除を受けられます。

逆に、社会人になって収入が増え、合計所得金額が62万円を超えると、扶養控除の対象から外れます。19歳以上23歳未満なら、特定親族特別控除(合計所得金額62万円超123万円以下・令和8年分)が残ります。63万円を限度に、合計所得金額に応じた額を引けます。ただし23歳以上には、この控除はありません[9]。

海外に住んでいる子どもには、別の年齢の決まりがあります。非居住者の扶養親族は、16歳以上30歳未満、70歳以上、または30歳以上70歳未満で留学中・障害者・生活費や教育費の支払いが38万円以上の人に限られます[3]。国内に住んでいる子どもについては、年齢の上限はありません。

年齢以外にも、条件があります

16歳以上であれば必ず対象かというと、そうでもありません。扶養控除は「扶養しているか」だけでは決まりません。扶養親族そのものになるための4つの条件を、すべて満たすかどうかで決まります。

扶養親族とは、その年の12月31日(納税者が年の中途で死亡しまたは出国する場合は、その死亡または出国の時)の現況で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人です。 [3]

(国税庁「No.1180 扶養控除」)[3]

4つの条件は、次のとおりです。

条件内容
親族であること配偶者以外の6親等内の血族、3親等内の姻族など
生計を一にしていること同じ家計で暮らし、生活費を共にしていること
合計所得金額が62万円以下令和8年分の金額。令和7年分は58万円以下、令和6年分までは48万円以下
事業専従者でないこと青色申告の事業専従者として給与を受けた人と、白色申告の事業専従者は対象外

(国税庁「No.1180 扶養控除」の4要件)[3]

3つ目の所得の線は、年によって動いています。国税庁は注書きで、令和8年分から金額が上がると説明しています。

(注)令和8年12月1日に施行され、令和8年分から適用される金額は「62万円以下」です。 [3]

(国税庁「No.1180 扶養控除」の注)[3]

国税庁は58万円の要件を、給与収入123万円以下と説明しています[3]。62万円に上がった後の給与収入の金額は、このページに書かれていません。令和8年分の年末調整では、合計所得金額62万円以下かどうかで判定します。

アルバイトを始めた子どもがいる家庭では、この線を超えていないかを毎年確かめる必要があります。19歳以上23歳未満で合計所得金額が62万円を超えても、123万円以下なら、特定親族特別控除の対象になります[9]。

年齢は、誕生日ではなく12月31日で数えます

年の途中で16歳になった子どもは、その年から対象です。逆に、同学年でも誕生日が遅い子どもは、その年は対象になりません。

例12月31日時点の年齢扶養控除
Aさん(11月生まれ)16歳受けられる(38万円)
Bさん(1月生まれ)15歳受けられない

AさんとBさんが同じ学年でも、年末の時点で年齢が違えば扱いが変わります。扶養控除等申告書を書く前に、12月31日時点の年齢を確かめてください。

扶養親族に当たるかどうかは、所得税法第85条で12月31日の現況により判定すると定めています[6]。年末調整では、その判定を、会社が最後の給与を支払う日の現況で行います[7]。ただし年齢は、年末調整でも12月31日現在で数えます[9]。

12月中に16歳になる子どもも、その年の年末調整から対象です。確定申告でも、12月31日現在の年齢で判定します[6]。

こうすればいい

  1. その年の12月31日時点の年齢を、子どもごとに確かめる
  2. 合計所得金額が62万円以下かを見る(令和8年分。令和7年分は58万円以下、令和6年分までは48万円以下)
  3. 16歳以上で条件を満たす子どもは、年末調整の扶養控除等申告書に書く。成人した子どもも同じ
  4. 16歳未満の子どもは扶養控除の対象外なので、書いても所得税の控除額は増えない。ただし、申告書の住民税の欄には書く[11]
  5. 収入が増えて合計所得金額が62万円を超えると、その年は扶養控除の対象外になる

年末調整で会社に出す申告書は、所得税法第194条に定められています。

国内において給与等の支払を受ける居住者は、その給与等の支払者(その支払者が二以上ある場合には、主たる給与等の支払者)から毎年最初に給与等の支払を受ける日の前日までに、次に掲げる事項を記載した申告書を、当該給与等の支払者を経由して、その給与等に係る所得税の第十七条(源泉徴収に係る所得税の納税地)の規定による納税地(第十八条第二項(納税地の指定)の規定による指定があつた場合には、その指定をされた納税地。以下この節において同じ。)の所轄税務署長に提出しなければならない。 [8]

(所得税法第194条第1項。年の中途で異動があったときの申告は同条第3項)[8]

会社員は、この申告書を毎年最初の給与の日の前日までに出す決まりです。扶養する子どもが増えたときや、卒業して収入が増えたときは、その年の途中でも申告し直します[8]。国税庁の様式では「扶養控除等(異動)申告書」といいます[9]。

まとめ

「扶養していれば何歳でも」の「何歳でも」が、条文と合いません。扶養控除の対象は、12月31日現在で16歳以上の控除対象扶養親族で、16歳未満は対象外です。年齢だけでなく、所得などの条件もすべて満たす必要があります。

一方、年齢の上限はありません。成人した子どもでも、生計を一にしていて合計所得金額が62万円以下なら、扶養控除の対象になります。申告書を書く前に、年齢と所得の2つを確かめてください。判断に迷ったときは、税務署または税理士に相談してください。

出典

※ 本文は令和8年10月25日現在の法令・公式情報に基づきます。出典は、法令(e-Gov)・国税庁の公式資料を基本としています。公開後に訂正が生じた場合は、訂正記録をこの記事の末尾に掲載します(訂正ポリシー)。

本記事は掲載日時点の法令・公式情報に基づく一般的な解説です。個別の事案については、お近くの税務署または税理士にご相談ください。